強度打撲と不全骨折の鑑別

強度打撲とは

強度打撲は強い打ち身のことで、直達外力が加わった衝撃でその箇所に圧痛、腫脹、熱感、痛み、血腫を起こします。

 

不全骨折とは

不全骨折は、直達外力や介達外力などが加わり、骨に損傷を起こすことを言います。ただこの場合の損傷とは、完全に骨が折れることではなく、わかりやすく言うとひびが入った程度の損傷のことです。この骨にひびが入った状態を不全骨折と呼んでいます

不全骨折と強度の打撲は症状がにているために誤診を引き起こすことがしばしばあります

<強度の打撲と不全骨折の共通する症状>

  • 腫脹と血腫
  • 自発痛
  • 運動時痛
  • 限局性圧痛
  • 熱感

 

これらの症状が顕著に現れてきます。

ただ我々は鑑別をしていかなければその後の施術に大きく影響が出てきます

そこで教科書には載っていない不全骨折と強度の打撲の鑑別診断をしてみましょう

 

<強度の打撲と不全骨折の鑑別法>

  1. 長軸圧痛の有無
  2. 枝折れ現象の有無1
  3. 枝折現象の有無2

1においては、強度の打撲では長軸からの圧痛は無いことが多いです。不全骨折では軸圧痛があります。ここをしっかり確認することで両者の鑑別ができます

2においては、例えば前腕骨の不全骨折など骨に影響があるときは、枝折れ現象と言って、手首を他動的に完全回内もしくは完全回外を行うと痛みを訴えます。打撲では枝折れ法で痛みが誘発されることはありません

 

3においては、例えば前腕骨の場合に、骨間にひびがある場合、ひびのあるところを支点として一本の骨の上下の骨にストレスを加えていくことで疼痛が出るのが不全骨折、疼痛が出ていなければ打撲だと言えます。この検査法を慎重かつ丁寧に行うことで鑑別ができます

 

<強度打撲と不全骨折の施術でのポイント>

 

*両者では、施術をする上でポイントとなることや気をつけなければいけない事がありますのでまとめてみます

  1. 打撲では一関節固定。不全骨折では二関節以上の固定が基本
  2. 打撲では副子固定が必要とせず、不全骨折では副子固定が必要
  3. 打撲では固定期間があいまいだが、不全骨折では、部位により固定期間が決まっている
  4. 打撲では固定による拘縮の影響が少ないが、不全骨折では拘縮の影響を考えて三週間以上の固定は避けること

*これをみると分かるように、強度の打撲よりも不全骨折のほうが予後に注意する必要があるということ

*術者はこれらのことを踏まえてスポーツ外傷や交通事故、その他の受傷起点などから強度打撲と不全骨折の鑑別をしなければならないのです

*術者用として言っておくと、例外として手の舟状骨の不全骨折だけは、気を付けて観察をし、時としてはレントゲンが必要な場合があります。

 

ただ、この場合、舟状骨ではすぐにレントゲンを撮っても骨折線が現れることはなく、二週間以上経過してからでなければ画像として発見できません

ここで言いたいのは、手首を損傷してすぐにレントゲンを撮り、異常がないからと言って安心はできないということです。

もし、不全骨折の上記の症状がスナッフボックスにあれば二週間後に再度鑑別をしてみて、もし陽性反応があればレントゲンを撮ることが必要です

*スナッフボックスとは長母指外伸筋と短母指外転筋の間のくぼみ

 

これらのことを踏まえて問診、触診を行うことで強度打撲と不全骨折の鑑別診断ができます